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恐る恐る携帯の電源を入れ、ホーム画面を確認する。
突如あったはずの黒い馬の絵はなく、どれだけ捜してみても、『ナイトメア』と言うアプリは見当たらなかった。
白昼夢でも見ていたのだろうか――?
まるで狐につままれたような出来事に、どっと疲れが押し寄せてきた。
何が何だか分からなかったが、ストレージの中にはないのだ。
きっと疲れているのだろう。いや、実際疲れた。
そう思い背中を丸め、はぁとため息を吐くと、ズキリと痛みが走った。
真菅に蹴られた痛みが、忌々しい現実に引き戻す。
ジュースを買い間違えたことにより、明日は今日よりもイジメは酷くなるだろう。
分かっている現実。変えようのない未来。
怒りよりも最早、泣きたくなった。
「……ははっ」
乾いた自嘲の笑いを零し、背中から大きなクッションに倒れ込む。
程よく埋もれると、それが神藤の眠りを誘った。
気付けば眠りにつき、深い深い夢の中の世界へ落ちていった。
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