20人が本棚に入れています
本棚に追加
それは突然。目覚めた感覚に似ていた。
目が開くのと同時に跳ね起きる。
飛び込んできたものは、見慣れた景色だった。
木目の床、白い壁。整然と並んだ茶色い机と椅子。
黒板やロッカーはないが、紛れもなく学校の教室内。
ひとつの席に座っていた神藤は辺りを見渡し、ぺたりと机に触れる。
触り慣れた感触。僅かに走る傷の窪みも、指から伝わってくる。
――これはやけにリアルな夢。
もちろん今まで10数年生きてきたので、何度も夢を見たことはあるが、ここまで現実に近いものは初めてだった。
雰囲気も手に伝わる感触も、まるで本物――。
だが神藤にとって、この夢の内容は嬉しいものではない。
毎日嫌で仕方ない学校生活。
夢の中まで学校に居たくなかった。
不快に顔を歪め、起きろと念じる。
だがそんなことをしても目覚める訳もなく、神藤が苛立ちに立ち上がった時だった。
「――ぎゃあああああ!!」
最初のコメントを投稿しよう!