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「おらっ! お前なんか弱ぇーんだよ!」
ガチャガチャと音を立てながら、素早く両手の親指を動かす。
ビシバシッと効果音が鳴り、テレビの画面にはふたりの男が映る。
「これで終わりだ!」
左の親指を大きく動かし、右の親指がボタンを力強く押す。
赤い服を着た男が剣を大きく振ると、迷彩柄の服を着た男が、派手に後ろに吹っ飛んでいった。
血飛沫が舞うと「K.O.」と、勝利を示す声が聞こえてきた。
「お前なんか、俺の手に掛かれば一瞬なんだよ! ザコが!」
もう相手は倒れているものの、剣を突き立てれば、真っ赤な血がぶしゅぶしゅと出る。
神藤は狂ったように剣を刺す。
「死ねっ! 死ね、死ね!」
薄ら笑いを浮かべ、大きく開いた目をした表情は、快楽殺人者のようだった。
ようやく画面が切り替わると、神藤の中で満足感が虚無へと変わる。
ぽいとコントローラーを投げると、ベッドの上に置いてあった携帯を掴んだ。
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