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「そう言えば、イベント今日からだっけ……」
毎日やっているゲームを開こうと、携帯のロックを外す。
神藤はゲームの中では、誰よりも強かった。
部活もアルバイトもしていないので、その代わりをゲームに費やす。
そのお陰か課金者にも負けない程の強さを持ち、イベント何かが始まれば、いつでも上位に立っていた。
だからこそ思う。ゲームの中だったら、真菅なんかに負けやしない。
むしろ、真菅を殺してやれるのに――。
「――ん?」
憎悪を宿した目がふと、元の黒色の瞳に戻る。
その目が捉えたのは、見覚えのない、ひとつのアイコンであった。
四角の中に黒いシルエット。
それは馬の形をしており、赤く鋭い目はこちらを睨んでいて、バックにはゆらゆらと、黒い炎が描かれている。
『ナイトメア』
そのアイコンの名を示す白文字は、そう書かれていた。
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