俺はあいつに甘過ぎる!

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「la tiedeur petit (ラ ティエドゥル・プティ)」がオープンし、あっと言う間に一年が経った。 ショーケース並ぶ、定番ケーキと季節限定のケーキやオリジナルケーキなどリピートも増え、毎日が忙しく楽しい充実した日々。 「いらっしゃいませ。田中様」 「塚本さん、お土産にケーキ買って行こうと思って来たんだけど」 田中様は「la tiedeur」からの常連客だ。フラワーアレンジメントの講師をされてるとか。 ボブカットで清楚な感じが俺好みなんだけど…… 「イチゴの季節ですので、ショートケーキやイチゴのムースもオススメですよ」 「じゃそれ、頂くわ」 「はい、かしこまりました」 「が~~く~~ちゃ~~ん」 この忌々し声は…… 「が~~く~~ちゃ~~んってば~~」 「接客中! あっちへ行け!」 客がいるにも関わらず、ショーケースに張り付いて中を見てるチラい若僧を、俺は小声で犬を追っ払うように手を動かした。 「田中様いつもありがとうございます」 「塚本さんが作るケーキ美味しいから、また来るわね」 「はい、またお待ちしております」 笑顔で店を出て行く彼女に、微笑んでお辞儀をした。
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