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ついにバレンタイン当日がやってきた。バレンタイン限定ショコラが最終日とあって、午前中は大忙しだった。昼間、少し空いた時間に悠馬から渡された件に連絡をした。留守電にメッセージを入れ通話を切る。
はぁ……こういうのいつになっても慣れない。和真はビッチだから慣れてんのかもしれが……いや、待て! 何故にそこで和真が出てくるんだ。
「あっ! 岳ちゃんここにいた!」
「ひぁっ! なんだよ和真!」
不意に声を掛けられ変な声が出てしまった。慌てる俺の様子を和真がジロジロ見てくる。
「あ……注文の件で店に電話掛かってきてんの。岸が今手が離せないらしいし、俺じゃ分かんねぇから出てくんない?」
「分かった」
さっきの聞かれてなかったよな?
不機嫌なのはずっとだし最近、用事があるって家にも帰ってこない。
「……なに?」
「いや、なんでもない」
和真から子機を受け取り電話の対応した。和真は電話対応をする様子をじっと見ていた。
ん……岳のやつなんか隠してんな……
和真は売り場へ戻りもう一度、岳を見てから小さくため息を吐いた。ショーケースにアルコールを吹き掛けた。
「あの…お話しがあるのでご連絡頂けませんか?」
誰なんだ? 電話の相手……
また、ショーケースにアルコールを吹き掛け、和真は気になる事柄を散らすようにダスターで擦った。
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