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翌朝、開店前になっても和真は店に来ない。念のため和真の携帯へ掛けてみたが、コールが聞こえるばかりで繋がる様子がなかった。
「店長、和真また例の家出ですか?」
「……そうかもな」
だといいんだけど……
「さぁ! 今日から俺と二人だよ岸くん! 頑張らなきゃ!」
「そうですね!」
二人で開店準備をし、岸が「Open」の札をドアにぶら下げた。
従業員兼事務所で机にノートパソコンを広げ、事務仕事をしている体を装っていた。
「店長! 店長! 」
「ふぇ?!」
「ふぇ? じゃないですよ。明日の注文どうしますか? って今日ダメダメですね」
あ……チョコの匂いもない……和真もいない。快適過ぎて余計、気が抜ける……
「いや、そんなことないぞ! 岸くん!」
一重の目を見開き、顰めっ面でドヤ顔をしてみせた。
「そんな一重を二重にする顔芸とかいらないですから」
「一瞬だけ二重になって男前になるやつ」
「はいはい! じゃ…注文FAXしときますね」
「なんだよ~~岸くんつれないな……」
「店長……ウザい!」
「ぐっっ! ですよね……はぁ……」
俺が構ってちゃんになってどうする!
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