決戦のバレンタイン

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「……岸くん俺、なんか動物でも飼おうかな」 「え?! 店長ってそんな人でした?」 「それどういう意味だ?」 「似合わないっていうか……店長が犬連れて散歩してる姿とか想像つかないっていうか……」 一体、岸の中で俺はどんなキャラなんだ?! 「まぁ…おっしゃる通り違いますけど……うちに誰がいる気配を感じたいなとか思ってな」 「なかなかの拗らせ重症ですね」 「なんだそれ」 「和真いなくなって寂しんじゃないですか?」 「それはない!」 「え~~またまた強がっちゃって」 「強がってない! 快適過ぎてヤバいぐらいだ!」 閉店後、従業員兼事務所で昨日作った試作品のケーキを二人で食べていた。 「紅はっさくはケーキより焼き菓子の方がいいかな」 「ん……タルトとかも合いそうですけど……中のカスタードに果汁を入れてさっぱり食べれそうじゃないです?」 「そうだな……タルトは女子に人気だしな」 紅はっさくのケーキを頬張り、岸が幸せそうに頷いた。 本当、こいつは旨そうに食うよな…… 「これ! 美味しいですよ! 果肉がジューシーだし」 「これは決定って事で後は、また試作品を作ってみるよ。辻田さんにも試食してもらいたいし」 机の上に置いてあるクシャクシャの紙袋を岸が見ていた。
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