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「な~にが塚本さんの作るケーキが美味しいから~~だ。岳ちゃん目当てなん見え見えじゃん! あの女! 超ムカつく!」
「何ぶつくさ言ってんだ! っていうか何やってたんだおまえは!」
「ダチんとこしけ込んでた」
悪びれる様子もなく、しれっと言いやがったこいつは、お幼馴染の宮嶋悠馬(みやじまゆうま)の弟、宮嶋和真(みやじまかずま)だ。兄貴の悠真は真面目でデキがいいのに対し、弟の和真はビッチでダメ男なのだ。
「はいはい! ど~~うせ女のとこだろう。俺に嘘言わなくてもいい」
「違うって、マジで! 俺、岳ちゃん一筋だっつってんじゃんか!」
ショーケースに頬杖付きニヤニヤ笑う和真の顔を睨んだ。
信じられるか! てーか俺は男だって何回言わせるんだこいつは!
「あのな……何回も言うけどそういう趣味、俺にはないの!」
「岳ちゃんお腹空いた」
「人の話しを聞け!!」
「俺も違うって、俺は岳ちゃんのだけの嫁になんの!」
はぁ……話しにならない。その発言に何が違うって言うんだ! 落ち着け! 俺! こいつは脳まで腐った能天気バカなんだ。
俺は拳を握り締め、悪態をぶち撒けそうなのをぐっと堪えた。
和真は昔から兄の悠真より、何故か俺に懐いていた。
あの時は本当……可愛かったのに……
今じゃ俺には、理解出来ない得体の知れない生き物と化していた。
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