決戦のバレンタイン

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あ……忘れてた…… 「そういえば和真って大学生だっけ?」 驚いた顔をした岸がフォークを落としそうになった。 「マジで言ってます?」 「ああ……マジだけど?」 「付き合ってるのに?」 「はぁ?!」 「え?!」 「だから……なんでそうなるだ! 根本的なとこ飛んでるじゃないか」 「そんなの気にしてるんですか?」 「気にするもなにもおかしいだろ……」 「関係ないですよ!」 「岸くん……?」 岸が大きなため息を吐いて持っていたフォークを俺に向かって突き出した。 「和真はそうじゃないです。どうしたら店長と一緒にいられるかってずっと考えてましたよ。……あれ、和真からちでしょう?」 「そうだけど……なんで?」 「食べてみて下さい」 「え~~」 「いいから食べてみて下さいって!」 「あ……分かった分かったから」 気迫負けした俺は、和真がくれた(正確には投げ付けられた)クシャクシャの紙袋からヘコんだ箱を取り出し開けた。
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