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里見アカリが派遣されたのは、海外のキッチン用品を取り扱う専門商社の経理部だった。派遣後間もなく年に一度の社員旅行があり、派遣社員のアカリも参加することになった。研修旅行という名目上断るわけにもいかず、経理部の社員と行動を共にしなければならない。「ここ露天風呂が有名なんですよ」と、直属の上司である入江美月の背中を押す羽村恭子と田島奈美の後について、アカリも大浴場に向かった。
脱衣所で下着姿になると、美月が「あらー」と声を上げた。
「里見さんって、スタイルがいいのね。いつもオーバーサイズの服を着ているからわからなかったわ」
人に褒められることなどなかったアカリは、美月に見つめられて俯いた。
160センチを超える長身に、しっかりと脂肪を蓄えたバストと、見事なS字を描く引き締まったウエスト。キュッと持ち上がったヒップは適度に張り出し、歩くたびに左右に揺れる。今時の女性が憧れるスレンダーな体型とは異なるその肢体は、生身の女体の艶めかしさを放っていた。
「もったいないわ。それだけのスタイルなら、どんなブランドの服も着こなせるのに」
美月がさらに褒めると、恭子と奈美は声をひそめて言った。
「でも、スタイルがいいだけじゃねえ‥‥」
「ブランドの服も台無しですよね」
「どうせ、着て見せる相手もいないだろうし‥‥」
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