私の受難

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「……だったら役所にその結婚は無効だって申し出るだけよ」  そんな方法を耳にしたことがある。 「婚姻の無効という奴か。あれはなぁ……時間も手間もかかるらしいぞ。その間、付き合う男にプロポーズされる度に、ごめんなさい、私結婚してるからケリがつくまで待っててって言うんだろうなぁ」  ククク。奏は再び肩を震わせる。 「まるで詐欺師だなぁ。いやぁ、想像するだけで面白い。実に愉快だ」  ブチッと頭の中で何かが切れた。 「奏ぇ……殺す!! 殺す殺す殺す!!」  私の渾身の平手打ちが、奏の後頭部に炸裂した。
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