なんとなく嫌なこと

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「そう……なんだ。あれかな。酔っ払い過ぎて、里見君が女の子に見えたのかな」  ははは。と無理に笑って済ませようと試みる。「かもしれませんねー」なんて笑ってくれたら、目撃した件を流せるのに。 「見えないでしょう。さすがに」  俺の願いも虚しく、「ふふふ」と笑って返す里見君。 「……だよね……ははは……」  俺は途方に暮れてジョッキをグイと煽った。 「男でもよかったみたいですよ。なんせ人肌が恋しかったんでしょ」 「……なるほど……」  って、そういう問題じゃないよね? 里見君的に、それはOKってこと? なんて聞けない。  里見君はチラッと俺を見て首を少し傾げた。 「大富さんはそういうのダメなタイプなんですか?」 「え!? お、俺ぇ?」  突然の質問に心臓がドキンと跳ね上がる。 「そ、そういうのって、つ、つまり?」 「僕の事、気持ち悪い……とか?」 「え、あ、いや。全然。そんな風には思ってないよ」  顔の前で手をブンブン振る。  ただ、未知の世界だから、ビックリしてるだけ。どういう顔をしていいのか分からないだけで。
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