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「会社の人とはこういうの止めておくことに決めてたんです。めんどうなことになるのが嫌だし。でも、見られたし。いっそ共犯者にしてしまえばいいかなって思ったんですけど。大富さんその必要なさそう」
共犯者……会社の人とはしない……。
他で探すってこと? 今日みたいに? 誰かにその唇を吸わせるの? 誰でもいいのなら、俺でいいじゃん。
「じゃあ、俺と付き合ったら万事解決だね」
里見君は俺の目を覗き込むようにして言った。
「口止めなんて必要なさそうって言ってるんです。きっと大富さん言いふらしたりなんてしないでしょ?」
俺は里見君の白くてスベスベの肌を両手で包んで、モフモフと感触を確かめながら言った。
「うん。言いふらしたりするもんか。だから、俺にしとけって」
「うん。そうする」
里見君は顎を持ち上げ顔を寄せると、ムニッと口角を上げた。
そのまま唇が俺の唇に重なる。
今度はくっつくだけじゃない。そっと動いて軽く吸い付いてくる。柔らかい。やっぱり気持ちいい。その唇をもっとしっかり味わいたくて、里見君のうなじに手のひらを当て引き寄せた。
頭の中はフワフワしている。ううん、うっとりしているのかもしれない。不思議な感覚だった。同性とキスしてこんな気持ちになるなんて思ってもみなかった。
何度も唇を触れ合わせ、軽く挟んで吸う。もっと引き寄せると、キスしたまま互いの身体が倒れていく。
俺は仰向けになり、里見君の上半身を乗せた。胸が重なる。当たり前だけど柔らかなオッパイなどない。なのにゾクゾクとしたものが身体の奥から湧き上がった。
里見君は唇を離すと上から俺を見下ろし、幸せそうに微笑んだ。
可愛い顔してる。
また重なる唇。再開するキス。
その夜、里見君のリードで俺と里見君は合体した。
そこは想像以上の世界で、俺は里見君に一気に夢中になった。
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