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俺は絡めた指を解くとサトミの背中とクッションの間に手を入れ、グイとサトミの上半身を起こし、膝の上へ乗せた。
サトミの顔が衝撃に少し歪む。座ると緊張を抜くように背骨を丸め、詰まらせていた息をゆっくりと静かに吐ききる。俺の肩に頬を乗せ、身を委ねるように寄りかかってきた。
「大丈夫?」
黙ったまま頷くサトミ。俺はサトミの体を支えながら、テレビのリモコンに手を伸ばし雑音を切った。そしてソファの下にリモコンを落とす。
「ちゃんと声聴きたい……」
耳元で囁くと、サトミは小さな声で「スケベ」と言った。クッタリしつつも、まだ余裕があるらしい。サトミの腰を両手で掴んで体を上下に揺する。
「っ!……う……っあ……は、はっ、ぁん!」
肩に顔を埋めたまま声を殺すサトミ。せっかく向かい合って座ってるのにこれじゃ表情が見えない。
「サトミ、声、我慢しちゃだめ。ほら。こっち見て?」
サトミの体を揺すりながら、突き上げる。サトミは僅かに頭を左右に振って、首に吸い付いてきた。誤魔化そうとする悪い子。
「こら。そんなとこ吸ったらシャツから見えちゃうだろ?」
「っ、いいじゃ……ん。……セクシーで」
そう言って吸った箇所を舌先で舐めてくる。俺はお返しにサトミの鎖骨が浮き出る窪みに吸い付き、同じように朱く浮き出た痣を舐めた。
サトミは吐息を漏らしながら僅かに「ぁ」と小さく声をたてた。俺を受け入れている部分がキュッと絞まる。
「……気持ちいい?」
「うん」
サトミは瞼を閉じたままコクッと頷く。
目を開けて欲しくて、名前を呼んだ。
「サトミ」
サトミは返事の代わりにキスしてきた。ゆっくりしっとりした軽めのキス。そのキスの合間にもう一度呼ぶ。
「サト?」
「はぁい」
離れていく唇。でもサトミは目を閉じたまま。
わざとだよね。
口の端を上げご機嫌良さそうな表情。そんなサトミを見つめながら伝える。
「……愛してるよ?」
サトミの瞼がゆっくりと開いていく。水分をいっぱい含んだウルウルした瞳が俺を映す。
「どーも」
そう言ってサトミは微笑んだ。
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