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「心変わりしないでねって約束はしないの?」
「そんな心配、大富さんには必要ないでしょ?」
サトミは見えてもいない未来を怖がっているくせに俺のことは信じると言う。そういえば、「人を見る目がある」とも言っていた。
それに、初めてキスした時。
俺に口止めは必要ないとも言ってた。でも、そう言ったのはキスしたあと。口止めの必要がない俺に、なぜサトミはキスしてきたのか。
したいからした?
もしかしたら、あの時、既にサトミは俺の事を好きだったのかも。
ようやく答えにたどり着いた気がした。
ずっとサトミが自分の気持ちを誤魔化していたのなら、俺に答えを求められ誤魔化しきれなくなって逃げ出したのも納得できる。
サトミってなんて可愛いんだろう。
「んで。どうする?」
サトミはやっと開き直ったのか、からかうような微笑を浮かべ、小指を立てて見せる。
俺はその小指に指を絡め「うん。約束する」とサトミへ大きく頷いた。
サトミの過去になにがあったのか分かんない。でも、ひとりぼっちになりたくないから、ずっとひとりでいようって考えているのなら、その考えごとまるまるサトミを抱きしめてあげたいと思った。
そしたらそのうち、サトミの不安も消えると思うんだ。
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