恋に堕ちた歌姫

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 肩先に唇を付けたまま、綾波が溜め息を漏らした。  激しく交わった後の疲れなのか、上に居る綾波の身体が、一瞬ズンと重くなる。  まだ、ふたりの身体は繋がったままだった。  ――普通なら、愛し合った後、くすぐったいくらいの甘ったるい語らいをするのだろうけど、私はこの人の恋人じゃない。  第一、今日出会ったばかりで、名前しか知らない……  でもそれは彼も同じだ。  私の声と、名前しか知らない。  なのに、お互いの身体だけは繋がってしまったなんて―― 『お前は今日から俺の物だ』  綾波に言われた言葉が甘く残酷に刺さる。  ――あれは、一体、どういう意味なの?
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