溺愛の獣

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 マンションを出たふたりは、先程の綾波の怒りようを思い出し、おののいていた。 「綾ちゃんにマジ切れされたの久々だよな――」  亮介は、くるくるした髪を弄びながら呟いた。 「……綾ちゃんも、美名ちゃんの事好きなのかな」  女と見紛う可愛いらしい顔を歪ませて三広が言う。 「『も』?て何!?……お前、早速惚れたんかい?いや~発情期みたいな猿だな」 「べっ別にそんなんじゃ……可愛いし……可愛いし……いいと思うけど」 「だよな――!美名ちゃん、いいよな――」 「綾ちゃん、ちゃんと本気なのかなあ……」 「似てるよな。『ほなみ』ちゃんに」 「うん……」  ふたりは、マンションを振り返った。
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