0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
男の名は槙屋 秋(マキヤシュウ)、29歳で独身。しがない小説家である。
彼は10年前に異世界に跳ばされていた。何年も異世界に居たが元の世界に戻って来たときには一週間位しか経過していなかった。
何となく異世界での事を小説化し出版社に投稿したところ即デビューで大ヒット。
人気の理由はそれぞれだが、一番多かったのは「妙にリアルで引き込まれた」という理由。
秋からすればただの自伝本なので売れたのは驚いた。
ただ、その小説以外は微妙な人気しか得られず伸び悩んではいた。
そんな時、身近なところに事件は起こった。
自身の担当の女編集者が行方不明になったからである。
突然の事で編集者の人達が戸惑いを見せていたが一週間が過ぎた頃には少し落ち着きを取り戻していた。
一応なにかしらの事件に捲き込まれた可能性を考え警察にも捜索をお願いしていたからのようだ。
秋は前に依頼をされていた、異世界での生活を書いた小説のスピンオフを書くことに集中することにし、PCの前にへばりつく。
スピンオフの主人公は人気だった主人公以外のキャラ、ダークエルフでスタイル抜群の王女アナト。
彼女は異世界で秋とずっと寄り添っていた。そんなことをふと思い出し、彼は真夜中の空を窓から見上げていた。
すると・・・
「なんだろう。凄く眠い・・、まだ書き始めたばかりなの・・・に」
突然の眠気に襲われ気が遠くなっていった。
__________
女オーガは部下を連れ森を歩いていた。
彼女達はゴブリンが栄華を極めた城の場所を目指していたが一向に見付からない。
そんなとき、女のダークエルフと出会う。
ダークエルフは丁度跡地に用があるらしく女オーガ達に道案内を、女オーガ達はその護衛という事で道中を共にする。
すると案外直ぐに城が姿を現す。
「城に入っても大丈夫ですが、王の間にだけは近付かない様にお願いします」
女オーガは何故忠告するのか訊ねたが返ってくるのは一言。
「お命が惜しければ・・・」
女オーガは彼女の目を見て本当のことだと理解する。仲間は大丈夫だろうと、たかをくくっているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!