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 ただ近頃、ひとつ変わったのは、月に一度訪れる行商の若者と親しくなった事。村の家族は5世帯、総勢50人にも満たないから、琴にとっては行商人の若者はまるで外界から来た異邦人の様に思えた。  若者が訪れる度、琴は外の世界の珍しい話を聞いた。大空に花咲く巨大な花火、美しい衣をまとった天女のようなお姫様。若者の言葉はまるで魔法の様に琴の心の中ではじけた。 そして若者は帰途につく際に言った。 「どんな美しい花火でも、どんなに美しいお姫様でも琴の笑顔には敵わないよ」と。 琴にはよく意味がわからなかったが、褒めてもらえた事だけで嬉しかった。  そして琴は最高の笑顔で若者を見送った。若者も時折後ろを振り返っては、見送る娘に手を振って応えた。
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