桜の鬼

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 琴は水面へと浮かびあがり、暗い夜空を見上げた。月の光に照らされて、満開に咲き誇った桜の花びらが、琴へと、ひらひら舞い降りてくる。  桜の花を眺める琴に何者かが声を掛けた。  鬼だ。険しい表情には殺気がみなぎっているが、琴には怖くなかった。  鬼が琴に尋ねた。 「お前は何をしている?」 「あたしは死んだので、漂っている。そういうあなたは何をしているの?」
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