桜の鬼

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 答えが返ると期待していなかったのか、鬼の表情が少し緩む。 「俺はこの辺りに住む鬼だ。この時期には桜の花を愛でに此処にやってくる。この辺りの山桜は見事だ、里でも滅多にはお目にかかれない」 「ありがとう」何故、琴は礼を言ったのかわからなかったが、琴の言葉に鬼はたいそう喜んだ。鬼は琴を水面から引き上げると、橋の上の桜の木へと運んだ。
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