7.海田町市街~学舎防衛~

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「こちらラウンド。ハンガーで待機中の戦闘員へ、敵の作戦行動を察知した。市街地での戦闘になる、民間人や建物への被害は抑えるよう注意してくれ!」  零治の声は艦内の通信回線を駆け巡り、格納庫の中で軽い食事をしていたメンバーが慌ただしく動き始める。 「やっと出番じゃのー、待ちくたびれたわ!」 「じゃのー。てっきり、昨日出撃するか思ったら待機じゃったし──」 「ココが戻っとらんぞ?」 「何!? どこほっつき歩いとんじゃ、あいつ!」  今、メンバーの一人が急いでスマホを取り出した。  そして、アドレス帳からすかさず……心のスマホの番号を選択する。  桜小路学院海田市校・寄宿舎の中で、夕凪姉弟──菊花と隆義は再会を果たしていた。  だがその時…… 「あれれ、連絡? 誰だろ」  心は音をたてたスマホに反応し、ポケットからそれを取り出す。 「もしもーし」 [もしもしじゃねー! 今どこをほっつき歩いとんじゃー!] 「ふわ!」 [ふわじゃねー、敵が行動開始したぞー! 今すぐ戻って来いっ!]  スマホから響く、割れんばかりの大声──  それを聞き、感動の再会という雰囲気だった周りが、一気にざわめいた。 「ね、ねぇ心、今の誰……?」 「あ、あははははw……ボク行かなきゃ」  菊花の問いに、笑って誤魔化すように応える心。  その直後── [もしもし……あれ、通話グループに御蔵君もいるの?] [おうよ!] 「零治さんが出てくるって事は……今、どういう状況なの?」 [敵が行動を開始した。どうやら、幼稚園か学校を襲って、身代金と女の子を目当てに誘拐をするつもりらしい]  そこまで聞き、隆義が席を立つ。 (きゅーちゃん、奴らの動きは解る?) 「うん……やってみるけぇ、ちょっとまって」  きゅーちゃんは、静かに意識を集中し始める。 「敵の数は?」 [それが、大型トラックとバスが二十台、それにバイクと武装車両が多数、豪攻車が──今確認できるだけでざっと四十機] 「多すぎるよ!」 [恐らく、この後色々な場所に広がって、バラバラになって行動するんだと思う。だけど、人質を取られると厄介だよ。……それが目当てなんだろうけど]  通話は、周りに聞こえている。もちろん、菊花と隆義にも。 「たかよし!」  不意に、きゅーちゃんの緊迫した声が響く。  聞こえるのは隆義だけだが……。
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