3.脅迫?!スイートルーム

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無骨で四角い顔と脂っぽい肌質。 明らかに肥満気味なその体型。 どちらかと言えば醜悪だった祖父は、 ことのほか『美』に執着し、 財力にモノを言わせて美しい妻を娶る。 しかし残念ながら、 子供達は祖父の遺伝子を色濃く持ち、 その孫たちも同様で。 諦めかけていたそのとき、 生まれたのが俺である。 その喜び方は、相当なものだったらしく、 幼い子供を両親から引き離し、 自分の手元に置いて溺愛したのだ。 うっかり俺の頬に傷をつけた庭師は、 半殺しの目に遭ったのだという。 心底笑うことのない従者たちに囲まれ、 誰からも叱られることのない毎日。 生きている実感すら無く、 ただただ時間を消化していた、 そんなある日 …女と寝た。 そう、あれは中1の夏のことだ。 家庭教師の女子大生に誘われて、 とにかく寝た。 これに嵌り、1日に何度も何度も寝た。 相手が『もう無理』と音を上げたので、 2人、3人と増やし、日替わりで寝た。 ヤッている最中だけは、 生きていることを実感出来たのだ。 たぶん依存症に近かったのかもしれない。 祖父はそんな俺すらも可愛かったらしく、 何人オンナを連れ込んでも笑っていて。 …そして俺は、 彼女と出会うのだ。
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