バレンタイン

3/5
前へ
/5ページ
次へ
ノダ君だって、あたしの事そんなには嫌いじゃないよね?わざわざこの広いホームの、改札から一番遠いベンチに座るあたしのすぐ隣に来て、こんなに近くに座ってくれるんだし……。 ……やだ、あたし。 思い上がりもはなはだしい。 ミナみたいに可愛くない。 ユキみたいに美人でもない。 ヒトミみたいに賢くないし、ルナみたいに器用な訳じゃない。 あたし、ホントに、普通……。 この気持ちに、気付かれたくない。 だって嫌われたくない。 ……なら、友達のままでいいや。 ノダ君とのおしゃべりは最高に楽しいけど、いつもみたいにすぐ、電車はあたしの降りる駅に着いちゃった。 「じゃあね」 今日も、バイバイ。 ノダ君に彼女が出来たって、ミナに教えて貰ったのはその次の週の話だ。 ×××××××× 「……よう」 しばらく一人で電車に乗る事が続いた。今まで毎日ノダ君と一緒に帰ってたから、退屈で仕方がなかった。 前みたいに、はにかんだ笑顔のノダ君。ノダ君は成績がダントツって訳じゃないし、運動がすっごいできるって訳じゃないし、めちゃくちゃカッコいいって訳じゃない。でも、ノダ君の近くにいるとそれだけで楽しい。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加