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ノダ君は、前みたいに駅のベンチで電車を待つアタシのすぐ隣に座る。風が冷たいのに、ノダ君がいる所だけ熱い気がする。
「あれ?今日、彼女は?」
彼女ができたって、知ってるよ?別に友達同士だもん、なんてことないよって顔をして、あたしは聞いてみる。
……なんて汚い女だろう。本当はもしかしてって期待してる。
「……別れた」
ちょっとだけノダ君の表情に影が差したのをあたしは見逃さない。
「あれ?一週間、たってなくない?」
あたしは心が汚いから、ノダ君が別れたって知って大喜びだ。
ねぇ、ノダ君、ノダ君、好きなの。大好きなの。
あたし、ノダ君が大好きなの。
「そんな事よりさ」
楽しい。ノダ君とのおしゃべり、楽しいよ。
もっと一緒に居たい。
手を、繋いで、みたい。
声がくすぐったいよ。
ノダ君の笑顔を見るとね、胸が苦しくなるの。
「……ねぇ、ちょっと、……その、相談、が、あるんだけどさ」
「なに?」
ノダ君が、ぎこちなく笑った。きっとあたしの笑顔も変だ。なんてことでしょう。向かいのホームにはお菓子メーカーが出した、チョコレートの広告が貼ってある。
「あたしね、お菓子作り出来ないの」
「……うん」
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