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(さぼり……)
そう思った私はつかつかと出入り口に向かう。
自動ドアが開き、来訪を知らせる機械音が私一人きりの店内に鳴り響く。
「ちょっとー?」
深夜なので声をひそめて町田君に声をかける。
町田君はゆっくりと私に視線を向けた後「あー……」とけだるい声をあげた。
それから目で上を指し示す。
「牛田さん、見てくださいよ。月がきれいですよ」
なにセンチメンタルなこといってるんだこの青年は、と思いながら私も町田君と同じようにけだるく視線を上に向けた。
そこにはまるでネーブルが浮いているかのような大きな月が輝いていた。
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