8人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「本当だ」
私は月の美しさに目を奪われ、それだけ返すのが精一杯だった。
「つか、そっちこそさぼらないでくださいよ。店、今無人クンですよ。今なら強盗入り放題ですよ、女優さんと一文字違いの牛田あさ美さん」
町田君のいらない一言のおかげで私は我に返ることが出来た。
キタコレ……。
私の名前は読みだと某女優さんと一文字違いである。
一文字違うだけだけど、外見から何から何まで全然違う。
夜勤に入りたての頃、コミュニケーションのきっかけづくりになればと私は自分からこの話を町田君にした。
町田君はその時某女優さんを知らなかったけれどPCで検索して彼女を知り、ファンになったらしい。
そうしてファンになって、改めてたった一文字の違いが雲泥の差を生むことをチクリチクリと冗談交じりに言ってくるようになった。
自分の立場が悪くなった時など特に。
最初のコメントを投稿しよう!