月がきれいですね

9/33
前へ
/33ページ
次へ
もはやいちいち真面目に対応する気にもなれない。 私は「ハイハイ」と声に出さず返答すると町田君を手招きした。 出入り口の前に従業員が二人で立ちはだかる、とある街の、深夜のコンビニである。 「これなら強盗犯防止になるだろう?」 「はぁ、まぁ。あ! つか、俺別に告ってないっすよ」 「は? いきなり話飛ぶねぇ、若人」 「え、もしかして知らないんですか? よかった。それならいいですよ」 「は? ちょっと何そのじれったい言い回し。つか、あー、もう寒っ。とりあえず中入ろう」 町田君はほうきとちり取りを邪魔にならない所に置き、防寒着を着たまま店内に入ると私と二人、雑誌の整理をするフリをしながら話し始めた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加