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退院は明日にするということで、一旦病室に戻ると、結花が心配そうな顔で結果を聞いてきた。
まだ自分でも混乱しているが、病気が治ったということと、明日退院するということを包み隠さずに伝えた。
すると結花は......
「............いっ......じゃん............」
結花が何かを呟いた。
「え?」
「一緒に退院しようねって約束したじゃんっ!!!」
結花の悲鳴に近い叫び声が僕の耳と心を貫く。
「言ったよね!? 一緒に退院して、これからも友達でいようって!!! なのになんでよっ......!」
結花は拳を握りしめ、ベッドのマットレスに泣きながら怒りをぶつけていた。
恐らく結花は誰よりもわかっているのだろう、二人同時に退院するなんて不可能だということを。
わかっているからこそ、やるせない怒りがより一層こみ上げてくるのだ。
そんな結花を前に僕は「ごめん」と呟くことしかできなかった。
他にかけるべき言葉が見つからなかった。
その後、夕刻になっても結花の怒りが静まることはなく、泣き止むこともない。
その怒りと涙は、柔らかいマットレスに虚しく吸収されていくばかりであった。
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