1人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
* * * * * * * * *
白血病という病気を僕は知らなかった。
はじめてその病名を聞かされたときは、
あまり重い病気じゃないといいな
なんて思ったが、現実は僕の希望とは程遠く、非情なものだったのである。
医師は一通り病気に関する説明を終えると、今度は治療法の説明に入った。
骨髄移植のドナーが見つかるまでは、抗がん剤でがん細胞の低下を試みたり、進行を抑えたりするのだそうだ。
最初は普通の病室だが、進行に合わせて無菌室に移動するかもしれないとも聞かされた。
放心状態の僕を他所に、母は必死に医師の説明を聞いている。
そんな二人を見ているうちに、色々な感情が僕の心を支配した。
死にたくない......
帰りたい......
寂しい......
怖い......
気がつくと僕はあの病室にいた。
僕があの看護婦さんと会う
二日前のことである。
* * * * * * * * *
最初のコメントを投稿しよう!