神谷

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* * * * * * * * * 白血病という病気を僕は知らなかった。 はじめてその病名を聞かされたときは、 あまり重い病気じゃないといいな なんて思ったが、現実は僕の希望とは程遠く、非情なものだったのである。 医師は一通り病気に関する説明を終えると、今度は治療法の説明に入った。 骨髄移植のドナーが見つかるまでは、抗がん剤でがん細胞の低下を試みたり、進行を抑えたりするのだそうだ。 最初は普通の病室だが、進行に合わせて無菌室に移動するかもしれないとも聞かされた。 放心状態の僕を他所に、母は必死に医師の説明を聞いている。 そんな二人を見ているうちに、色々な感情が僕の心を支配した。 死にたくない...... 帰りたい...... 寂しい...... 怖い...... 気がつくと僕はあの病室にいた。 僕があの看護婦さんと会う 二日前のことである。 * * * * * * * * *
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