9人が本棚に入れています
本棚に追加
桜の蕾が膨らみ始め一番早い桜の開花宣言を耳にし、病院から電話があったあの日から1年。
見頃を過ぎた桜が風に舞う景色を一人で眺めていた。
そんな中、遠くにその姿を見つけた瞬間、目頭が熱くなった。
「おせーよ!」
涙と気持ちを隠しわざと強気な態度を取る。
彼女は文句言いながらも桜の木下に広げたシートの上で弁当の蓋を開けた。
その中身に俺は目を丸くした。
「スゲー量。誰が食うんだよ」
「二年分だから」
フフっと笑う彼女に飽れた顔をしつつ、手を伸ばし唐揚げを指でつまみ口に頬張った。
口いっぱいに広がった2年ぶりの味に再び目頭が熱くなる。
「あれ?不味かった?腕落ちたかな」
無言の俺に彼女が不安げに声をかけてきた。
「落ちる腕なんか最初からないだろ」
俺はそんな事を言いながら彼女を抱き寄ると、だいぶ痩せてしまった体に胸が傷んだ。

最初のコメントを投稿しよう!