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さよなら俺の可愛い妹
俺、直樹。もうすぐ高校2年生。
俺は自宅の前に立っていた。
今、夜10時。
この時刻に玄関から「ただいま」と入るには、まだ親にぐちぐちと言われるお年頃だ。
だけど俺は青い春の真っ只中。
土曜の夜に家族で2時間サスペンスを見るほど暇ではない。(でも2時間サスペンスは好きだ)
こういう時、俺は玄関の横にある姉ちゃんの部屋の窓から家に入る。姉ちゃんの部屋と言っても、当人はもう嫁に出て家には居ない。
今は俺のギターが置いてあり、学校のバンド仲間のまっつん(ギター・ボーカル)、ニュートン(カスタネット・トーク)と集まるバンド部屋として使っている。
窓の鍵はいつも開けてある。
今夜もいつものように、リビングにいるかあちゃんにバレないように部屋に入った。
パステルイエローのカーテンを静かに開けて、手前のベッドに膝を乗せた時……
「うう……ううん……」
誰だっ!?
姉ちゃんのベッドで寝てる奴がいる!
上がりそうになった声を両手で抑えて押し殺し、俺はそのままの姿勢で停止した。
寝ている奴は少しもぞもぞと動いたが、すぐに寝息を立て始めた。
薄暗闇に目を凝らすと、そこで寝ていたのは父方のばあちゃんだった。
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