さよなら俺の可愛い妹

1/17
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

さよなら俺の可愛い妹

 俺、直樹。もうすぐ高校2年生。 俺は自宅の前に立っていた。  今、夜10時。 この時刻に玄関から「ただいま」と入るには、まだ親にぐちぐちと言われるお年頃だ。 だけど俺は青い春の真っ只中。 土曜の夜に家族で2時間サスペンスを見るほど暇ではない。(でも2時間サスペンスは好きだ)  こういう時、俺は玄関の横にある姉ちゃんの部屋の窓から家に入る。姉ちゃんの部屋と言っても、当人はもう嫁に出て家には居ない。 今は俺のギターが置いてあり、学校のバンド仲間のまっつん(ギター・ボーカル)、ニュートン(カスタネット・トーク)と集まるバンド部屋として使っている。  窓の鍵はいつも開けてある。 今夜もいつものように、リビングにいるかあちゃんにバレないように部屋に入った。 パステルイエローのカーテンを静かに開けて、手前のベッドに膝を乗せた時…… 「うう……ううん……」  誰だっ!? 姉ちゃんのベッドで寝てる奴がいる! 上がりそうになった声を両手で抑えて押し殺し、俺はそのままの姿勢で停止した。 寝ている奴は少しもぞもぞと動いたが、すぐに寝息を立て始めた。  薄暗闇に目を凝らすと、そこで寝ていたのは父方のばあちゃんだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!