彼女の甘さ

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「ハルトに色目使わないでよ」 「私のハルトにちょっかい出さないで」 「血の繋がりをなんだと思っているの?」 「ハルトはね、私のこと、大好きって言ってくれるんだから!」  その光景を見た時の弟は、ただそれを、遠くから眺めることしか出来なかった。  色目。血の繋がり。大好き。その言葉たちはどれもみんな、使う相手を間違えているのでは? そう思った。 でも、それは違うのか、と瞬時に思う。何故なら、彼女は言っていたから。  ハルト、と。  ハルト君ではない。  ハルトさんではない。  ハルト、と。  彼女はまだ愛しているのだ、ハルトを。ハルトへの愛で一生懸命なんだ。  彼女は弟じゃなくて、ハルトのことが。  好きで。  大好きで。  愛しているんだ。  それなら。 それなら僕は、誰?
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