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その日、学校に行くと思った通り教室にはヘンな空気がただよっていた。
男の子達はみんな、なんとなく落ち着きがない。
女の子達は女の子達で、別々の縄張りのねこが道ばたで出会ってしまったみたいに、どこか緊張している。
こんなことになるのは、うちの高校が共学だからだと思う。
今日はバレンタインデー。
一年の中で、わたしがクラスメイトとの温度差をもっとも感じる一日だ。
人気の男の子達は、もう朝イチで下駄箱にいくつかチョコレートが入っていたはずだ。
だけど、人気のある子にとっては毎年のことだし、いちいち自慢したりはしない。そっとカバンにしまうだけ。
でも、まだまだ今日はスタートしたばっかりだ。
まだもらってない男の子達も、まだ渡していない女の子達も、今日という一日に勝負をかけている。
だから今日は、このヘンな空気が学校がおわるまでずっと続くんだ。
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