小佐野さんと松戸くん

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わたしと松戸くんとは、とくに親しい仲ではない。クラスメイトではあるけれど、ほとんど話したことなんてないんじゃないだろうか。 松戸くんは感じのわるい人ではないけど、あか抜けてるタイプでもない。体育祭でリーダーシップを発揮したりするよりも、文化祭の準備をコツコツするようなタイプ。運動場よりは図書館がにあいそうなタイプだ。 「うん、話聞くぐらいならだいじょうぶだよ」 ちょうどわたしのとなりの席が空いていたので、松戸くんはイスに座った。 「えっと、まず本題の前に一つ聞いてもいいかな?」 「なに?」 「単刀直入で申し訳ないんだけど、小佐野さんは、その……本命チョコをあげる予定はある?」 あまりにもストレートな質問だったから、わたしはさっきよりもさらにポカンとした顔をしてしまった。 「あぁ、えっと、ごめん。大事なことなんだ。先に確認しとかないと話が進められない」 あげる予定がなければ、松戸くんはどうするのだろう? わたしに告白でもするつもりなのだろうか。 いや、わたしなんかに告白はしないか。 でも、こんな日にわざわざ話すことといえば、それぐらいしかない気もする。あぁもう考えてもよくわからない。 とりあえず落ち着こう。べつにヘンに期待しなければいいだけだ。
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