6人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしと松戸くんとは、とくに親しい仲ではない。クラスメイトではあるけれど、ほとんど話したことなんてないんじゃないだろうか。
松戸くんは感じのわるい人ではないけど、あか抜けてるタイプでもない。体育祭でリーダーシップを発揮したりするよりも、文化祭の準備をコツコツするようなタイプ。運動場よりは図書館がにあいそうなタイプだ。
「うん、話聞くぐらいならだいじょうぶだよ」
ちょうどわたしのとなりの席が空いていたので、松戸くんはイスに座った。
「えっと、まず本題の前に一つ聞いてもいいかな?」
「なに?」
「単刀直入で申し訳ないんだけど、小佐野さんは、その……本命チョコをあげる予定はある?」
あまりにもストレートな質問だったから、わたしはさっきよりもさらにポカンとした顔をしてしまった。
「あぁ、えっと、ごめん。大事なことなんだ。先に確認しとかないと話が進められない」
あげる予定がなければ、松戸くんはどうするのだろう?
わたしに告白でもするつもりなのだろうか。
いや、わたしなんかに告白はしないか。
でも、こんな日にわざわざ話すことといえば、それぐらいしかない気もする。あぁもう考えてもよくわからない。
とりあえず落ち着こう。べつにヘンに期待しなければいいだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!