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松戸くんはすごく嬉しそうだ。
わたしはそれにちょっとおどろいてしまった。わたしのことで、こんなに目をキラキラさせる男の子がいるとは思わなかった。何の取り柄もないし、そんなにカワイイわけでもないのに、どうしてそんなに喜んでるんだろう。
「それじゃあ、学校が終わったら、駅前の本屋で待ち合わせしよう。一緒に学校出ちゃったら、結局怪しまれるだろうからさ」
「うん、わかった」
話が終わったところでちょうどチャイムが鳴って、となりの席の子も戻ってきた。
松戸くんは「じゃあね」と手をふって、自分の席に帰っていった。
◇
ホームルームが終わって、みんな帰る準備をしたり、部活に行く準備をしている。今日は一日ずっとソワソワしてしまった。
あたまの中には、どうしても松戸くんのことが浮かんできてしまう。だって、わたしが男の子に誘われるなんてはじめてのことだったから。そういう意味では松戸くんが言った通り、当事者になってしまったので、いつものバレンタインデーと全然ちがう。
でも、のぞんでいても当事者になれなかった子もたくさんいるんだろうな。
今日、一つもチョコをもらえなかった男の子達はガッカリして帰っていくのかもしれない。
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