逃した猫は大きい3

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何だか急に羨ましくなってきた。同時に無性に切なくなってきた。 いいな、私もそんな風に言えたらな。そんな風に思ってくれる相手が欲しいな。どっちもないものねだりなのはわかっていたが、初めて結婚と言う言葉がキラキラ輝いているように聞こえる。 「一緒に暮らす」、その言葉が耳に微かに聞こえてきた時にはもう走り出していた。手にはスマホを握りしめている。 とりあえず今の熱い気持ちのまま会いたいと思った。文字で謝るよりも先に無性に会いたくなってきた。会って何を話そうとかは全然考えてないが、それでもじっとしていられなかった。 いつかエントランスであった事がある黒髪の女の子。あの子に間違いないと変な自信があった。 もしかしたら何かの有名人だったのかもしれない。だけど今の私にとっては幸運の黒猫のようだった。 ふらりとやって来ては私の心を揺さぶって、気まぐれにこんな風に私の気持ちを熱くさせる。 今度はどこで会えるんだろう。もしかしたら近い内に思わぬ形で出会う事になるかもしれない。 「今日は、星が綺麗……」 弾んだ息を整えるように空を眺めれば、オフィスビルの明かりに紛れるように大きな星が1つ、頭の上に浮かんでいた。 ー END ー
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