犬心あれば猫心あり2

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(絶対言ってやらない) 最近かわいくなったとか、センス良くなったとか。絶対言わない。 しかも原因がわかっているからさらに面白くない。 少し前までは有り余る才能を持て余していて、しかも見た目も決して悪くないのに色々持て余していて、こいつも全然気にしていなくて本当に残念な奴だよなと思っていたのに、最近では少しずつ他の棋士とも話をしようと努力していたり(実際はしているだけで、相変わらずぼっちなんだけど) クラスの友達とも仲良くしている(この前はみんなに誘われてプールに行ってきたと言われた時は本気でびっくりした。あの、カナヅチで水に入るのが怖いとか言ってた奴がプールかよ、みたいな感じで)ようだし、洋服もようやく良さが分かってきたのか、ボーダーにボーダーとかよくわからない組み合わせを着てくることもなくなった。 髪の毛は相変わらず手入れをしなくてもさらさらつやつやだったし、肌も真っ白で、そこは変わらないにしても、リップなんて女の子らしいものを持っていなかったあいつが、リップを持つようになったし。 あ、ハンカチとかは持ってたな。その辺りはご両親のしつけの賜物だと思う。 「キジ?」 あ、後目だ。この目は変わらない。 見ているとざわざわと落ち着かなくさせるし、覗き込むと自分の顔以外の何かも見せてくれる猫の瞳は、小さい顔のパーツのバランス限界で大きく象られていて、だけど前よりももっと深みを増している気さえしてくる。 だってこんなにうまく表現出来なくて、だけどもっと見ていたいなんて思ってしまうんだから。
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