犬心あれば猫心あり2

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「仕事で兵庫にいるらしい」 「別に説明しなくていいよ」 「明日だったら出られるのにって言われた」 「……」 数十秒前から考えていた時間を返して欲しい。 (馬鹿馬鹿しい) 応援しているのは勿論だろうが、あの人の事だ。言われた本人は気づいてないようだが、やんわりと一回負けてくれと暗に言っている気持ちも本音だろう。やっぱり僕が感じた事は何も間違っていなかった。 (そんな事言う位相当やきもちしてるんだろうな) 当たり前か。自分がいない内に大切な猫が知らない人達に囲まれて祝われて、可愛らしい恰好をしているんだから。 「この衣装もちゃんと見たいから明日見せてって言われてる」 本人も衣装を気に入っているのか、少し嬉しそうに笑う。これであの人と会う事を想像して笑っているとかだったら結構がっかりするから言わないで欲しいところだ。 (何かムカつくな) 「じゃあとりあえず写真でも送ったら?」 僕の思惑を知ってか知らずか、勝ったって伝えたからいいと言っている相手を「祝賀会出たかったみたいだし、雰囲気を味わってもらった方がいいじゃん」とかなんとか適当に言って説き伏せれば、なるほどと目を丸くしてうなずいている。 「烏丸七段もどうですか?」 「あ、私も写真とろー!すみません、スマホのシャッターいいですか?」 誘えば一緒に食いつてきた鳩羽三段と4人でそれぞれのスマホを近くにいた人に渡せば、手際よく撮ってくれる。 「じゃ、これラストね」 「お前直立不動過ぎてつまんねぇんだ、よ!」 言って隣に立った烏丸七段があいつの首をヘッドロックすれば、途端に警戒心を露にしたあいつが腕の中でもがき出す。
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