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もう1人の日本人受付嬢とお互い顔を見合わせて肩をすくめている間にも、受付のトップでもある金髪の女性(私達はこっそり大奥取り締まりのお局様と言っている)が不思議な機械を通し、音がなったものや不審な宛先のものを選別している。
『最近あの手のものがなくなったと思ったのに。また保護団体に寄付しないといけないかしら』
音がなった内の1つ、それはさっき私達が偶然見つけた猫缶を持ち上げ、こめかみを抑えている。
『倉庫に結構溜まりましたからね』
それでも一時に比べたらだいぶ減った方だが、こうして時々届けられるありがたい贈り物のおかげで、最近動物保護団体から感謝状をもらってしまった。
こんなところまで人助けならぬ動物助けまで出来る我らがトップに、関心を通り越して失笑しか出来ない訳だが、喜ぶ人もいるのでもうあきらめた方がいいのかもしれない。
『あらこれは……』
音がならない箱を持ち上げると、箱自体には送り先も書かれていなかったが、外箱には女性なら誰しも一度は見たことがあるロゴが刻印されている。
「きゃあ!!FISH&CHIPSのブランドロゴ!!」
案の定その手に敏感な子が黄色い悲鳴を上げ、灰色の外箱を崇めるように持ち上げている。
『そう言えばF&Cのデザイナーと先生、接点あるらしいわよ』
『本当ですか?』
『ええ』
これは初耳だ。と、言ってもこの前日本に来日して着物をプロデュースしたとニュースになったし、可能性が全くないとも言い切れない。
何々?と英語に少し自信がない受付の子に説明すれば、きらきらした目で会議室に視線を送っている。
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