逃した猫は大きい3

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へぇ、結婚。何の偶然だか知らないけれどすごいタイミングだな。こっちはその結婚のずっと前段階で躓いて、いっそ別れようとか考えているのに。そんな卑屈な事を思いつつ、他人の幸せを聞いていたいような聞きたくないような複雑な感情のまま、何となく足をそちらに向ける。 「いや、先生はもう立派に働いているし、悪かないけど……でも……早過ぎねぇか?」 「そうだ!親御さんは!?反対とかしなかったのか?」 「ちゃんと考えた方がいいからな?苦労するのは先生だからな!?」 立ち聞きは行儀が悪いが、聞こえてきた内容から察するに、影になって見えない人物に対し、このおじさん方は結婚に対して反対派である事は明白だ。 早いと言っているのと、働いているというフレーズから恐らくもうすぐ就職が決まっていて、うちの研修生のように実地研修に来ている新人なのかもしれない。その新人さんが警備のおじさんとどういった関係なのかまでは知らないが、『先生』と言われている人物はおじさんからのありがたい常識的な説得を一通り聞くと、ゆっくりと答えた。 「まだしない」 (女性?) 先生と言われていたからてっきり男性だと思っていたのに、どうやら相手は女性だったようで、すごくうらやましい事にどうやら相手から求婚をされた立場であるようだ。 「まだって事はするのは決まりなのか?」 「マジか!?婚約!??」 (……何よ)
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