犬心あれば猫心あり

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祝賀会や打ち上げみたいな場所でも彼はよくワインを飲んでいる。 聞けば昔よく行っていた場所ではワインのラインナップが豊富で、大人をきどって飲んでいる内においしさに目覚めたらしい。 言われてみれば先生が安い居酒屋でホッピーを飲んでいるよりも、ちょっとしたおしゃれなバーでワインを飲んでいる方がずっと様になるし、想像もつきやすい。 でも事務所で新年会をやった時はみんなと一緒に瓶ビールを飲んでいたような気もするが、それはそれで似合うから、もうイケメンが飲むにはこの際何でも似合うのかもしれない。 「これは……何でしょうかね」 残り少なくなってきた荷物の中にあったのは、綺麗な1組の器。 「食器?」 2つある内の1つを持ち上げてみると何だかずっしりと重量がある。見た目はサラダボールよりも少し小さめで、蓋がついている、スープボウルのようなものにも見えなくはないが、それにしては中身でも入っているんじゃないかと思う位重たい。 宛先を見てみればイタリアのガラス工房かららしく、外見は確かに繊細な模様がついているガラス製品とも見えなくはないが、この重さだと文鎮か置物位にしか活用方法が見つからない。 「いつもありがとうねー」 「あ、先生」 「これ……フレッドからか……」 仕分け作業の横を、定例報告の休憩を利用して外に出てきた先生が通りかかり、すぐに荷物の中でも目立つ灰色の箱を見つけて複雑そうな顔をする。 「せ、先生!フレデリック・ルーバーと面識があるんですか!?」 「こらこら」 「んー、面識っていうか、ちょっとした腐れ縁みたいなものだけどね」 少し渋い顔をして笑う先生の言葉に、さっきの推理が当たったとお局様と顔を見合わせてハイタッチをしていると、高価な服が入っているだろうブランドの箱を持ち上げ、次にワインが入っている箱を見つける。
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