Ignition

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「ちょうどいいことに、先日、まきさんの会社から新業務システムの相談を受けています。そこで、試作品という形を取ってみようかと思います。タイムテーブルを実際に総務部で使ってみてもらって、勝手が良さそうなら新システムを開発する際に組み込みを検討してもらう。 まあ、ベータ版みたいなものですね。とりあえずその部分に関しては無料で開発します。採用になったらそちらの開発費用に乗せようかと」 「神長くん、そんな先まで考えてたんだ」  企画書を一読した時点でそこまで思いついていたのだろう。そうじゃなければ、スケジュール管理を絡める案は出さないはずである。坂巻は、頭の回転の速さにただ感心するばかりであった。 「とはいっても、まだ仕事を任せてもらえるかすら決まっていないので、まずはアポイントまでに仕上げて、契約を締結する足掛かりにしたいと思ってるんですけど」  神長がビールの缶を持ち上げると、優月がその腕を肘で小突いた。繰り返すが、かなり酔っている。 「お前、悪い男だなあ。お金もらうのにうちの利益ばっかじゃん。神長の大好きなまきちゃんの依頼だよ? まきちゃんたちの総務部長に対する愛情アプリだよ? それをビジネスに利用しちゃうとかどうなの」
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