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題名
ヤル木スイッチ!!
『ヤル気』という感情には、目的に到達する為、或いは目的を定めるために必要な行動を促進する作用があります。
また、人間の生き様を『一本の木』に例えられる事があります。
根は心のありよう、幹は精神力の強さ、花は才能の現れ、実は達成を表し、種は次の世代への希望、などです。
因みに、これらのは全てをやる気がもたらした結果に当てはめることができます。
つまり『やる気』の先には、『やる木』があるのです。
そう思うと何だかこの『やる木』を育ててみたくはならないですか?
多少強引ではありますが、そんな作者の気持ち悪い空想が現実にある世界がこの物語の舞台であります。
◇ 転 界
天空に浮かぶ、虹色に輝く孤島、転界。(てんかい)
島の中心には世界を体現する世界樹が聳え立っている。
世界樹はその巨大な体幹から延びる枝の上に、うすい膜のかかったオーブ状の球体を支えている。
また、球体の中には陸地が存在し、淡い光を放つ人工の近代建造物らしき姿がぼんやりと見て取れる。
付け加え、オーブの中には数千もの平行世界が存在すると言われており、それぞれの世界にひとつだけ、この様な建造物が存在し、それぞれの目的の為の施設として運用されているのだ。
さて、その中の一つに『Mituka』の名を冠す施設がある。
Mitukaとは当該施設管理長の苗字をそのまま施設呼称のために当てたもので、運用内容を分かりやすく説明すると、生命の樹の成長を観察及び様々な疾病の予防及び、治療を目的とした巨大メディカル施設である。
そしてこのMitukaでは、おうよそ三千体の生命の樹を専門の技術をもった転子(てんし)達が一丸となって二十四時間、三百六十五日、献身的に生命の樹のケアに従事している。
施設内に入ると、出入り用の扉はおろか、窓が一つもなく、意図的に外界への交流を閉鎖していることに気付く。そして天井、壁、床を縦横無尽に剥き出しの状態で配管された多種多様のパイプがこの施設の異質さを物語っている。この異質に好感を持てる人物は、恥ずかしげもなく年不相応のオーバーホールを着た口ヒゲ紳士くらいなものであろう。
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