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なんでラーメンなの?
せっかく頑張って姉貴にコーディネートして貰ったのに
チョコだって、用意したし…
映画までは良かったんだ。
「…何、ラーメンダメだった?」
「あっ、、そんな事ない、ないよ」
お昼過ぎに、ターミナル駅前で待ち合わせして、そのままシネコンに入って、
チョイスされた映画は
見たかったほどほどにスリラーが入ったアクションもの。
映画の好みはおんなじ感じで、そこまでは楽しかった、楽しかったんだ。
「なんか、腹減らない?夕飯には早いけど、映画の後って腹減るんだよな」
という彼に、少し期待してた気持ちが、沈んでくる…
今日はヴァレンタイン、今日会うってことは、わかってるでしょ?デートだよね。
映画は僕のお勧めだったけど、その後は考えておくって言ってくれたよね…
なんとなく友だち以上の気持ちに気がついてくれてたと思っていたのに、これじゃ、チョコだって渡せないかもしれない。
気持ちがドンドン沈んできて、ドンドン遅れがちになる。
少し先を歩いていた彼が、さしかかった交差点で急に振り返って、
「俺、預けてるものがそこの店にあるから、待ってて、取ってくるから」
って、
横断歩道渡った先の
女子向け@可愛い物系のお店に入っていってしまった。
なんなの、なんなの
預けてあるもの、誰かに渡すもの?
ドンドン沈んでいく心に
やるせなさでいっぱい。
ショルダーの中のチョコの箱をギュッと握って震える指先を何とか誤魔化した。
信号を2つ待って、戻ってきた彼の手には、少し大きめのパッケージ、勿論ハートのデザインが可愛い袋…
もう、涙を止めるので精一杯の僕は
目を何度もシバシバさせるしか出来ることがなかったんだ。
そんな僕に気もつかないのか、ドンドン先を行ってしまう彼の後を何とかついていく僕。
少し先で待っている彼の手が僕に向かっておいでと振られている。
何となく、わざとゆっくり近寄る僕に、立ち止まったビルの中を指差して
「ここ、ここなんだ。入ろう」
そこは完膚なきまでにラーメン屋
らっしゃい??という威勢の良い掛け声で、店に入ると、直ぐ奥のカウンタ~に進んでいく彼。
カウンターでラーメン、普通のダチなんだ…
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