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がっかりも頂点の僕に
「…何、ラーメンダメだった?」
「あっ、、そんな事ない、ないよ」
「…座って、ここ、餃子も上手いんだよね、食べるだろ?」
壁に貼られたお勧めらしき品書きで、
僕の分まで注文する彼…
(一応は好き嫌いは聞いてくれたけど)
さっき取ってきた預かり物らしき袋を、丁寧に後ろの荷物カゴに入れて、コートを被せて、
大切な物なんだな、誰かにあげるものなんかな
と、また一気に想像は真っ暗へ
黙ってしまう僕に、カウンターの奥を伺いながら、ラーメンのうんちくなんかを僕にとって話してくる。
そうしてる間に、餃子とラーメンが同時にやってきた。
「お。一個おまけしてくれてんだ、」
どうやら5個の餃子も が6個付いてきたらしい。
「良く来るお店なの?」
さすがに好奇心があって聞いてみると、「え?あ?言ってなかった?
この店、おれんちだもの」
「え?え?え!」
驚いて掴みかけてた麺を膝に落としちゃった僕
「う。、、!アッツ」
慌てて水で冷やしたおしぼりを僕の太ももにかけて冷やしてくれる彼
「ごめん、言ってなかったら驚いたよな、割と俺の家がラーメン屋って言うの有名かと思ってたけど、お前は知らなかったのか」
ちょっぴりの太ももの熱と、一丁裏のズボンを汚した哀しみと、ラーメン屋さんが家だという事で連れてきてくれたの?という喜びで、何が何だかの僕は
ウンウンと頷くばかり。
「夕方はオヤジは休んでて、兄貴が主にやってるんだよ」
「お兄さん…」
「そうそう、さっきの1個多い餃子は多分兄貴から」
と嬉しそうに笑う彼、僕はもう何だかすっかり満足になってしまって、ラーメンも餃子も百倍美味しく感じられて、全て完食。
その後はシミのついてしまったズボンを一応軽く洗うからと、彼の家に連れていかれ、家族、お父さんお母さん兄貴、姉貴、全員夜の時間は店に出てるからと、静かな居間で彼と並んで、お茶してる。
やっぱりチョコ、あげられるかな?
貰って貰えなかったらどうしよう…なんてグズるから、すっかりさっきから出しそびれてる。
そんな僕を彼はジーとさっきから楽しそうに眺めてる。
何か言ってよ…言ってくれたら、話繋げて、えいって渡せるのに…
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