突然現れた

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「あー、もう! 分かったから! じゃあ、なにか現物をくれよ。そうだな……金を……いや待て。お前は鐘を渡してきそうだ。じゃあ、宝石……そうだ! ダイヤモンドをくれ!」  ここまで指定すれば、ボケる事は出来ないだろう。 「ダイヤモンドですか。あはははは……だが断る! ダイヤモンドは砕けない」  ……  …… 「ジョ○ネタでかわすなよ!!! お前、本当に神様なのか!?」  再び神はショボンとした。 「私のお小遣いは雀の涙なのです。この前、イベントで上位入賞して稼いだ賞金は、全て娘のオムツに化けました」 「悲しくなってきたよ! なんで誕生日に暗い気持ちにさせるんだよ! 凄い能力持ってるなら、自分に使えよ!」 「自分には使えないのです。皆さんを幸せにする能力なので……」 「……そうか。悪かったな。じゃあ、安物でいいからリングをくれよ! 実用的で、みんなから羨ましがられるようなリングをさ。あっ、中古じゃなくて新しいやつな」  そろそろ新しいアクセが欲しいと思っていた。それを貰えれば、このふざけた時間も終わりを告げるだろう。 「分かりました。では!」  タコの体が一層輝きを増す。  そして……  ……  ……  ……イカリングが一つ、空から降って来た。  イカリングは、そのままベッドへとダイブする。 「ああーーー!!! ベッドに油が染み込んでいく!!! なんて事をしてくれるんだよ!」 「ハッピーバースデー!」 「ハッピーじゃねえよ!」 「ご希望通り、新しい揚げたてのリングです。お腹も満たされ、みんなからは羨ましいと羨望の眼差しを……」  俺はタコの体を両手で鷲掴みにした。
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