桜なんて無ければよかったんだ

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「テメェなんて糞野郎だ」  誰もいない桜並木に静寂を破り捨てるかのような俺の怒鳴り声が響き渡る。早朝に桜を眺めようなんて物好きはいないっと踏んでやってきたが、やはり俺は怒鳴らずにはいられなかった。 「テメェは俺に嫌な思い出を思い出させやがる。テメェさえいなければスパッとこの地を去れるのによ」  そう言って桜並木に怒鳴り続けていると、入学式の事を思い出す。俺が高校の入学式の帰り道、俺が初めてこの艶やかに咲き誇る桜並木の道を通ったその日、俺は出会ってしまったんだ。
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